素晴らしき哉、我が人生

自分の半生と考えを書くブログです

夏休みの自由研究

小学校2年生の時の話である。

 

夏休みに都心の科学館に行った(昔のことでもう名前はわからない)

 

夏休みの宿題で自由研究があったので、針金のモールを使って塩の結晶を作るキットを購入してもらった。

 

モールは型取りが出来るようになっていて、塩の結晶がついた様々なキャラクターを作ることができる。私が購入したものは半魚人であった。

 

悪戦苦闘しながら作成した記憶がある。半魚人といってもデフォルメされていて割と可愛く仕上がった。

 

それを鍋に入れて塩の結晶をモールに付けていく。

それなりの日数がかかったが、中々立派な塩の結晶がついたモールの半魚人が出来上がった。(塩の半魚人とする)

 

新学期が開始されると、みんなが自由研究を持って学校にやってくる。

塩の半魚人は廊下の壁に飾られるようになった。

中々にその様は優雅で、神々しさまで兼ね備えていた。

 

 

廊下に掲示されてからおよそ一週間。

塩の半魚人は、全ての塩の結晶がなくなり、ただの半魚人と化していた。

 

これは時間の経過で塩の結晶が落ちてしまったとか、溶けてしまったとかそういう話ではない。

あろうことか半魚人は私のクラスメイト達の休み時間のおやつにされたのである。

給食が終わり昼休みになると、遊びから帰ってきた複数の友人が半魚人の前に集まり塩の結晶をポリポリと食べていく。

 

その様は今思い返すとなんとも凄惨な光景であり、半魚人の血肉ともいえる塩の結晶達が毎日とられていく様は生涯忘れることができないであろう。

 

新学期が始まってから一ヶ月ほど経ち、自由研究は撤去され、各自自宅に持ち帰ることとなった。

 

いわば骨だけの状態になってしまった半魚人。

下校中の通学路、私はその半魚人を口に入れ噛み締めた。

塩が染み込んでおり、中々に美味しかった。