集団下校~舞い降りたる不死鳥~
小学校3年生の時の話である。
その日は9月1日、都内の小学校は基本的に集団下校だ。(関東大震災の日だから?)
通学路が同じメンバーと一緒に学校を出発し、一列になって帰宅する。
集団下校が始まって自宅まで残り半分といったところで事件は起きた。
通学路上の駐車場に孔雀がいた。
どうやら動物園から脱走してきたようだった。
徐々に近所の人たちも集まってくる。
そんな中孔雀は悠々と私たちの通学路を外れて別の道に歩いていった。
私と友達は多少相談したが、集団下校のグループを外れ通学路外に向かった孔雀についていった。
その後動物園の飼育員だと思われる人がでかい網をもってきて孔雀を捕まえようと奮闘する様を私たちは野次馬として楽しんだ。
満足し帰宅したところ、私の家の前には担任含め2名の先生が立っていた。
集団下校からいなくなった生徒がいるのだから探すのは当然である。
私はとりあえず事情を説明した。
担任は私にめちゃくちゃ怒りながら
「命と孔雀、どっちが大切なんですか!!」
と怒鳴った。
私は
「命です。」
と嘘をついた。
翌日の朝の会でも私は席を立たせれ、誰が一緒にいたかを白状する損な役回りを担ったが今回の行動に後悔の念は一つもない。
孔雀と命を天秤にかけることは今後一生ないと思う。
あったとしても孔雀が勝ることは一生ないだろう。